重金属の基礎知識と重金属含有水の処理方法
目次
3-1.凝集沈殿法（水酸化物法）
3-2.凝集沈殿法（共沈法）
3-3.凝集沈殿法（硫化物法）
3-4.吸着法（READ-HM）
3-5.処理方法まとめ
重金属含有水を排水する際は、水質汚濁防止法で定められた排水基準値を順守する必要があります。そのために、重金属含有水が排出される紡績工場や金属の加工工場では、様々な排水処理技術を駆使して排水処理を行っています。当記事では、重金属を含む水の排水処理技術の種類と各処理方法の長所と短所を解説します。
重金属の水処理の基本的な知識と必要性
重金属は、人体や農作物に影響を及ぼす恐れがある有害物質です。
鉛や銅、亜鉛といった重金属を多量に摂取すると、健康被害が生じることが確認されています。
そのため、重金属含有水は、水質汚濁防止法において排水基準が厳しく設けられています。
重金属の排水処理基準
重金属含有水の排水処理は、水質汚濁防止法で定められた下記の環境基準に則って処理する必要があります。
▼排水基準
- 鉛及びその化合物 0.1 mg Pb/L
- 銅含有量 3mg/L
- 亜鉛含有量 2mg/L等
ただし、元素によって一律排水基準の達成が困難なものもあり、暫定排水基準が設けられている元素と設けられていない元素があります。
重金属が含まれている排水の処理方法
重金属含有水の排水処理方法にはいくつかの種類があります。
代表的な処理方法は、凝集沈殿法（水酸化物法、共沈法、硫化物法）、吸着法およびこれらを組み合わせた処理方式があります。
各処理法の特長は、以下の比較表を参照ください。
凝集沈殿法
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凝集沈殿法
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凝集沈殿法
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吸着法
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| 技術の特長 | 苛性ソーダや消石灰などのアルカリ剤を添加して所定のpHまで上昇させることで、金属成分が水酸化物として析出する | 塩化鉄などの共沈剤を添加することで理論溶解度より低いpHで析出させる方法 | 硫化物を加えることで溶解度の低い硫化物として金属を析出させる方法 | 原水を吸着剤の充填された塔に通液することで重金属の除去を行う 基本は弱酸性域が最も吸着能が高くなる |
| 処理濃度 | 各金属の溶解度によって変化 | 水酸化物法より更に低減 | 適切に処理できれば高度に処理可能 | 高度処理が可能 |
| 汚泥について | 薬注量に応じ大量に発生する | 薬注量に応じ大量に発生する | 薬注量に応じ大量に発生する | 汚泥は発生しない再生を行う場合はその廃液が発生、使い捨ての場合はこの吸着剤自体が廃棄物となる |
| 運転管理（装置管理除く | 薬注量確認と汚泥の処理が必要 | 薬注量確認と汚泥の処理が必要 | 薬注量確認と汚泥の処理が必要 | 吸着塔回りだけなら基本自動化が可能 |
| 長所 | ・pHを調整するだけで汚泥として析出させることが可能 ・運転管理も容易でランニングコストにも優れる |
・水酸化物法より更に高度な処理が可能 ・薬注のみで処理できるため処理は簡便である |
・中性域で処理が可能 ・高濃度からでも高度処理が可能 |
・低濃度域においては効率良く、且つ低濃度まで安定して処理が可能 ・濃度変化に強く、多少変動しても処理は可能であり、また運転管理も比較的容易である |
| 短所 | ・適切なpHに調整しないと処理しきれない恐れがある ・溶解度の関係で残留してしまう元素もある |
・追加薬剤の分の費用が発生する | ・条件によっては、硫化水素ガスが発生する恐れがある | ・高濃度処理は破過までが早くランニングコストが掛かる ・元素毎に選択性があり、吸着しにくい元素もある |
処理方法まとめ
重金属含有水の排水処理方法は、凝集沈殿法が一般的ですが確実に高度処理する場合には吸着法を併用するのが望ましいです。
重金属含有水を凝集沈殿法で取り除く方法は、水酸化物法・共沈法・硫化物法の3種類があります。
水酸化物法は、アルカリ剤を添加することで排水を所定のpHまで上昇させ、金属成分を水酸化物として析出する方法で、運転管理も容易でありランニングコスト削減に繋がります。しかし、適切なpHに調整することが難しい場合、処理しきれず残留してしまう元素が出る恐れがあります。
共沈法は、ほかの金属を加えることで共沈させる方法です。
硫化物法は高濃度からでも高度処理が可能ですが、条件によって硫化水素ガスが発生する恐れがあります。
このように、凝集沈殿法でもそれぞれ長所短所があり、また元素によっては処理しきれない場合があるため、吸着法を組み合わせることが重金属含有水の排水処理には効果的です。
重金属の水処理で吸着剤を使用するなら〈READ-HM〉
READ-HMは、排水処理用の吸着剤READシリーズの中で、重金属含有水の排水処理を行うための吸着剤です。
この吸着剤は弱酸～弱アルカリ域において重金属を吸着除去することができ、1価、2価のカチオンが高濃度で存在する排水中からでも除去が可能です。
READ-HMは鉛や銅、亜鉛といった重金属類全般に対して高い選択吸着性を発揮し主に紡績工場や金属表面加工工場に導入されております。
重金属の水処理で凝集剤を使用するなら〈READ-CX〉
READ-CXはこれまでの薬剤とは異なり、少ない使用量で処理が可能となった新しい凝集剤です。
凝集沈殿法を用いた水処理用凝集剤READ-CXは様々な有害物質の除去に有効です。
下記はpH=9.0調整時のデータですが、READ-CXは他の一般的な凝集剤に比べ、セレン、クロム、フッ素、ホウ素に高い処理能を発揮します。
水処理用凝集剤「READ-CX」は他の凝集剤と異なり、低濃度域でもある程度の効果が期待できる薬剤です。
そのため吸着塔のような設備投資を行わなくとも既存の凝沈装置を活用し処理を行うことが可能です。
同様の処理を目的として使用されるアルミ系薬剤に比べて薬注量が少なく済み、それに伴い汚泥発生量も抑えることができます。
READ水処理技術についてカタログはありますか？
対象元素ごとのリーフレットや技術資料がございます。当社グループまでお問い合わせください。
吸着剤・凝集剤のサンプルはもらえますか？
ご利用目的および処理概要についてご相談いただいたお客様にはサンプルを提供しております。
事前に試験することは可能ですか？
サンプルの提供を行っておりますので必要でしたら当社グループまでお問い合わせください。また、当社グループで試験を承ることも可能ですのでお気軽にご相談ください。
工場見学はできますか？
ご希望の方は当社グループまでお問い合わせください。